足の付け根が痛い…「腸腰筋腱炎」かもしれません
「歩くと股関節の前側が痛い」
「足を上げるとズキッとする」
「階段の昇りで痛む」
「立ち上がりで股関節の付け根がつらい」
「スポーツでダッシュやキック動作が痛い」
このような症状がある場合、
『腸腰筋腱炎(ちょうようきんけんえん)』が関係している可能性があります。
腸腰筋は、股関節の深いところにある筋肉で、
「足を持ち上げる」「体を支える」など日常動作に欠かせない重要な筋肉です。
この腸腰筋の腱に炎症が起こると、
股関節の前側(鼠径部)に痛みが出やすくなります。
一般的に「股関節の痛み=変形性股関節症」と思われがちですが、
実際には腸腰筋腱炎が原因のケースも少なくありません。
腸腰筋腱炎とは?
腸腰筋腱炎とは、
腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)の腱(筋肉のスジ)に炎症が起こり、
- 股関節の前側の痛み
- 足を上げる動作の痛み
- 歩行や階段動作の痛み
などが出る状態です。
腸腰筋は体の深部にあるため、
本人も「どこが痛いのか分からない」と感じやすく、
発見や診断が遅れ、長引いてしまうこともあります。
腸腰筋腱炎の症状
腸腰筋腱炎では、次のような症状がみられます。
- 足の付け根(鼠径部)の痛み
- 歩くと股関節の前側が痛い
- 階段の昇りで痛みが出る
- 立ち上がり動作で痛む
- 足を上げるとズキッとする
- 車の乗り降りがつらい
- スポーツでダッシュ・キック動作が痛い
- 股関節の前側が詰まる感じがする
- 長引くと慢性的な違和感が続くことがある
腸腰筋腱炎は、
「安静にすれば治るだろう」と我慢されやすい一方で、
動き方のクセや負担が続くと慢性化しやすいのが特徴です。
※これらは一般的にみられる症状であり、診断を目的としたものではありません。
腸腰筋腱炎の原因
腸腰筋腱炎の原因は、
腸腰筋への繰り返しの負担であることが多いです。
- 急に運動量が増えた(ランニング・筋トレ)
- サッカーや陸上など、股関節を強く使うスポーツ
- 長時間の歩行や立ち仕事
- 体幹や股関節の筋力低下
- 骨盤の傾きや姿勢のクセ
- 股関節の形態(臼蓋形成不全、FAIなど)
- 股関節周囲の柔軟性低下
特に多いのが、
「股関節が硬い状態で無理に使い続けた結果、腸腰筋に負担が集中する」パターンです。
腸腰筋腱炎と間違えやすい疾患
股関節の前側(鼠径部)の痛みは、
以下の疾患でも起こることがあります。
- 変形性股関節症
- 臼蓋形成不全
- 股関節唇損傷
- FAI(股関節インピンジメント)
- 大腿骨頭壊死
- 鼠径部痛症候群(グロインペイン)
- 腰椎疾患(坐骨神経痛など)
- 仙腸関節障害
股関節の痛みは、
「どれも似た症状に見える」ことが多いため、
自己判断で放置すると治りが遅れることがあります。
腸腰筋腱炎の診断方法
腸腰筋腱炎は、症状と診察所見をもとに総合的に判断します。
- 痛みの部位の確認(鼠径部中心)
- 股関節の可動域評価
- 足を上げる動作での痛みの確認
- 歩行や階段動作の評価
- 必要に応じて整形外科的テスト
- レントゲン検査(骨の形や変形の評価)
- 必要に応じてMRI検査(股関節唇損傷などの鑑別)
- 必要に応じてエコー検査(腱・炎症の評価)
腸腰筋腱炎は、
「股関節の骨の異常がないのに痛い」というケースで見つかることも多く、
他疾患の除外(鑑別)が非常に重要です。
腸腰筋腱炎の治療方法
腸腰筋腱炎の治療は、
保存療法(手術をしない治療)が中心となります。
● 保存療法(基本)
- 内服治療や外用薬(炎症や痛みを抑える)
- 物理療法(痛みの軽減)
- 腸腰筋の負担を減らすリハビリテーション
- 股関節周囲筋(殿筋・体幹)の機能改善
- 姿勢や歩き方、動作の指導
- 運動量の調整(やりながら治す)
腸腰筋腱炎は、
「痛い場所だけを揉む」「とにかく安静」だけでは改善しにくく、
股関節や骨盤の使い方を整えることが非常に重要です。
● 注射治療
炎症が強い場合には、
診察結果に応じて注射治療が検討されることがあります。
症状の経過には個人差があり、
医師の指示に基づいた対応が重要です。
腸腰筋腱炎のFAQ
腸腰筋腱炎は自然に治りますか?
→ 軽症であれば改善することもありますが、
負担が続くと長引きやすいため早めの評価がおすすめです。
運動は続けても大丈夫ですか?
→ 状態によります。痛みを我慢して続けると慢性化することがあるため、
運動量やフォーム調整が重要です。
レントゲンで分かりますか?
→ 腸腰筋腱炎そのものは写りにくいですが、
臼蓋形成不全や変形性股関節症などの鑑別に重要です。
腸腰筋腱炎でお困りの方へ
腸腰筋腱炎は、
「股関節が痛いけど、原因がはっきりしない」
「湿布を貼って様子を見ている」
という形で、放置されやすい疾患です。
しかし実際には、
痛みをかばい続けることで
- 歩き方が崩れる
- 腰や膝に負担が広がる
- スポーツ復帰が遅れる
- 慢性痛として残る
といった問題につながることがあります。
特に、
- 足の付け根の痛みが2週間以上続いている
- 階段や立ち上がりがつらい
- 運動をすると必ず再発する
- 股関節が詰まる感じがある
このどれかに当てはまるなら、
なるべく早めに整形外科で原因を確認することを強くおすすめします。
腸腰筋腱炎は、
「早い段階で評価して、正しくリハビリを始めた人ほど改善が早い」傾向があります。
埼玉整形外科スポーツクリニックでは、
診察・画像評価・リハビリテーションを組み合わせ、
あなたの股関節の状態に合わせた治療方針をご提案します。
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